じゅん菜池の車軸藻類の研究 概要説明

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2001.01 追記:この部分は、理科部が部活として動いている時のもので、現在はじゅん菜池についての取り組みはほぼ休止状態です

発端

イノカシラフラスコモという車軸藻類は名前の通り、東京の井の頭公園および流れ出る神田川上流に生息していたのですが、環境の変化の為にこの地域からは絶えてしまい、種としても絶滅したものと考えられていました。

ところが1995年に本校近くのじゅんさい池緑地公園で再発見されました。
現在分かっている自生地はここのみで、環境庁の作成した「植物版レッドデータリスト」では絶滅危惧1類に分類されています。

現在は形態的なこと以外は殆どわかっていないらしく、高校の部活動というレベルでも生息に適した環境条件など、新しいことを見つける余地があるのではないか。また、少しでも増殖できれば良いのではないか。ということで研究を始めることにしました。


現在までに何をやっているのか?

A,じゅん菜池の調査(1997年7月)

イノカシラフラスコモの自生地を管理している、「じゅん菜池にジュンサイを残そう市民の会」の協力を得ることが出来たので、じゅん菜池から藻体をいただくはずだったのですが、夏になってフラスコモが枯れてしまいました(例年のことらしい)。そこで基礎調査として自生地の池の形状や植生を調べました。

B,じゅん菜池の泥の培養(1997年7月〜)

池の泥を採取してその中の卵胞子または藻体の断片から新しい藻体を手に入れようとしました。(あまり期待はしないで)泥に水を入れておいたところ、一ヶ月後に出芽が確認されました。
また、その芽が藻体の断片ではなく卵胞子から出芽していることがわかりました。この芽を育てて、生殖器の形状等からイノカシラフラスコモであることが確認できました。
雄株と雌株の両方が育ってきたため、じゅん菜池で(栄養生殖だけではなく、)有性生殖により繁殖していると推定されます。
また、じゅん菜池の泥からは車軸藻類はイノカシラフラスコモしか出ないと思いこんでいたのですが、シャジクモ Chara braunii とシンフラスコモ Nitella shinii も出てきました。

イノカシラフラスコモの培養 / 3種の車軸藻類

C,卵胞子の形態(1997年8月〜10月)

泥の中にかなりの密度で卵胞子があることがわかったため、乾燥した泥をふるいにかけて検鏡し、2グラムの泥から10個程度の卵胞子を手に入れることができました。
卵胞子が集まれば形態観察や、出芽させるのに必要な条件を調べることが出来そうです。走査電顕の写真を撮ることもできました。

「じゅん菜池にはイノカシラフラスコモがいる」としか聞いていなかったので、泥の中から3種類の卵胞子が出てきて不思議に思っていましたが、泥の培養の結果現在では、イノカシラフラスコモ、シンフラスコモ、シャジクモのものだとわかっています。

泥の中の卵胞子

D,じゅん菜池の植生調査(1998年10月〜)

じゅん菜池に3種類の車軸藻類が生育することがはっきりしたので、3種の季節変動を追いかけていこうと考えています。
が、現在事実上中断中。

じゅん菜池の植生調査

今後の展望

卵胞子の出芽条件、藻体の生育に適当な条件などを調べたり、じゅん菜池で3種の車軸藻類がどのようにくらしているのか生態的な調査を行いたいと考えています。

また、自生地が一カ所では心許ないので、市川市の大町自然公園への移植の試みを行い始めたところですが、藻体が水槽内で思うようには増殖してくれなくてなかなか先に進みません。