日本産唯一のホシツリモ属で、湖沼の深い所で暮らす大型の車軸藻類です。全長数mになるとか。
皮層や托葉冠を持たず、ヒメフラスコモ Nitella flexilis のような大型のフラスコモに似ているのですがもちろんフラスコモ属とは違います。
特徴
・大きな苞
・星形の球状体
・肥大した節細胞
苞(ほう)
主軸から伸びる小枝(しょうし)がフラスコモのように枝分かれ(分枝)しているようにも見えますが、よく見ると一本の小枝の節ごとに長い苞が1〜2本伸びているのです。
小枝だの苞だの言われましてもねえ
これならいかが?
小枝が枝分かれしているのではなく、一本の小枝に付属品として苞(矢印)が付いている
このぐらい貧弱な苞だと分かりやすいかと。
これならいかが?
小枝が枝分かれしているのではなく、一本の小枝に付属品として苞(矢印)が付いている
このぐらい貧弱な苞だと分かりやすいかと。
球状体
藻体の下部に白くて星形の球状体が吊り下がります(だから星吊り藻)。
ホシツリモは雌雄異株なのですが生殖器はめったにつけず、これで増殖します。
マシュマロマンか?
主軸の節部
主軸の節の部分(小枝が出ているところ)にある節細胞は、他の車軸藻類だと小さく目立たないのですが、ホシツリモでは大きく肥大しています(すべての節で下の写真ほど大きいわけでもないようです)。
ちなみに
小枝や苞の先端部はこんな感じ(もっとまるっこいものもありますが、おおむね尖っています)。
日本では数ヶ所で記録があるものの、すべて絶滅したと考えられていましたが、長野県野尻湖産の株が大学の実験材料として保存されていることが分かり、これをもとに現地で復元作業が進行中です。
また研究者の努力により、河口湖・琵琶湖などでの生息が明らかになり、
印旛沼産のものが保存されていたことも判明しています。野尻湖のものは雄、河口湖のものは雌だそうです。
最初の藻体全体の写真と球状体の写真は加藤将さん(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻(当時))提供の河口湖産ホシツリモです。写真提供ありがとうございます。